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【読書案内】古典の中の古典『論語』を読んでみよう!

哲学・宗教

※この記事は、過去のブログ(http://blog.livedoor.jp/tabihonhoka)記事(現在グルメブログのため該当記事は削除済)を再掲し、加筆・修正したものです。

※初出:2019年12月23日


概要

『論語(ろんご)』は古代中国の思想家「孔子(こうし)」とその弟子たちの言行録です。

東アジアにおいて多大な影響を与えました。

欧米文化を理解するうえで必要なのが『聖書』だとすれば、
『論語』は東アジアの聖書的な立場にある書物と言えるでしょう。

つまり必読書です!

『論語』から出た名言・名句

『論語』が典拠(てんきょ:元ネタ)となっている名言・名句に、
温故知新、
過ぎたるはなお及ばざるがごとし、
不惑
などがあげられます(もっとたくさんありますが)。

それほど日本人にもなじみ深い書物なのです。

『論語』の成立

『論語』の中心人物である「孔子」は紀元前6世紀後半~紀元前5世紀前半を生きた古代中国の思想家で、儒教(じゅきょう)の創始者とされます(儒教と呼ばれるのは後世ですが)。

『論語』は孔子の弟子の弟子(つまり孫弟子)が編纂したといわれています。

主な内容

基本的なキーワードとして「仁(じん)」と「君子(くんし)」という概念があります。

「仁」は、言葉で表すには難しいのですが、
あえて表現するならば「人間性の核となるもの」「他の人への思いやり」というような意味合いだと思います。

「君子」は、単に知識があるとか人柄が良いというような人物ではなく、
「仁」を備えた理想とすべき人格者といったところでしょうか。

後世への影響力

儒教は古代中国に生まれましたが、
統一国家「漢(かん)」(紀元前200年頃~紀元後200年頃)の時に国教・官学となり、
中国ひいては漢字文化圏(東アジア)の文化的基盤となります。

影響力は計り知れず、欧米の思想が本格的に入ってくる19世紀まで支配的な思想でした。

そして老荘(ろうそう)思想(自然に任せるのが一番という考え。仙人などの民間信仰の基盤となる思想)や外来思想(たとえば仏教)に影響を受け、さらに分化・発展していくのです。

漢文がシンプルな理由

さて、漢文は成立当初から意図的に簡潔な記述方法で書かれています
(参照:吉川幸次郎『漢文の話』ちくま学芸文庫)。

具体的には、時制や主語など文脈で理解できるものは省略される傾向があるのです。

なぜでしょうか。

今と違って本が無い時代(文字を使えるのが特権だった時代)には、内容を全て暗唱する必要がありました。

そこで覚えやすいように、なるべく短文で、対立する語句を並べたり(対句)、リズミカルなものにしたり(押韻)、なかば詩のように表現に工夫を行ったのです。


(ちなみにこの「詩的な表現になりやすい」傾向は中国に限らず世界中で確認されます。
たとえばギリシアの叙事詩、インドの『ヴェーダ聖典』、仏教の経典など。)

ちなみに『論語』の中でも詩的な箇所と散文的な説明調の箇所がありますので、見つけてみてください。

読み比べのすすめ

中国の古典は、漢文というシンプルな文の構造ゆえに解釈の余地があり、訳者の思想を反映しやすいと感じます。

特に『論語』は読むたびに新しい発見があり大変魅力的な書物なので、自分で訳を出してみたいと思う人が多いのではないでしょうか(つまり題材になりやすい)。

したがって、入門書として書かれた本は、他の(中国の)古典と比べて圧倒的に多い印象です。

ぜひ読み比べて解釈の違いを楽しんでみてください。

おすすめの本

個人的におすすめなのが、講談社学術文庫からでている加地信行さんの訳注『論語全訳注』です。

文字面を追うだけでは決して気付かない深い理解のもと考察されており、個人的には腑に落ちる解釈でした。

特に印象的だったのは「いずくんぞ死を知らん」のところです。

読み方について

名言が多いので、どこから読んでも基本okです。

ただし一度は全編の通読をおすすめします。

登場人物それぞれが生き生きと立ち上がってきて面白いです。

なかでも機転の利く子貢(一番出世したのでは?)、ひたすらまっすぐな子路、一番期待されたが早死にしてしまう顔回の3人の弟子に注目すると良いでしょう。

★何度も読み返せる古典中の古典、それが『論語』です。


2023年ちくま学芸文庫から出ている土田健次郎さん訳注の『論語』も丁寧に補注などされており、おすすめです!

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