※この記事は、仕事仲間が退職した際に、餞別がてら送った「おすすめの本リスト」に、加筆・修正をしたものです。
※最近の本が多いのです。そのため入手しやすいかと思います。ぜひお手元にとってお読みください。
※適宜、追加・修正の予定です。ご了承のほどよろしくお願いいたします。
「人生に教科書は無い」と言いますが、参考となる本は少なからずあるはずです。
そこで、これまで実際に読んできた本の中から「おすすめの本」を紹介したいと思います。
一般的な読書のコツとしては、完璧を目指さないことです。
不明な点はとりあえず飛ばしましょう。
著者が主張したいことは、必ず繰り返し提示されるので、そこを抑えれば充分です。
なにより楽しむのが大事!
よりよく生きるための古典など
1)『論語 全訳注』 加地信行 (講談社学術文庫)/『論語』土田健次郎 訳注(ちくま学芸文庫)
必読書。人生の教科書レベルの本。古典中の古典。
この本の内容を実践できれば社会生活で困ることは、まず無いかと思われます。
(「言うは易く行いは難し」なんですけどね)。
名言が多く人生で必ず役に立つと自信をもっておすすめします。
何か困難にぶつかったらこの本を紐解くと良いでしょう。
意外に思うかもしれませんが、とても読みやすいです。
それでいて含蓄があります。
訳者によって解釈も異なりますので、気の合う訳を見つけてください。
2)『原始仏教を読む』中村元 (岩波現代文庫)
原始仏教は宗教というよりも、認識を改める等といった理知的な印象を受けます。
人生の指針を示すという意味で現代でも十分(むしろ価値が揺らいでいる現代だからこそ)通用すると考えます。
(映画「マトリックス」3部作を見直したら驚くほど仏教的でした)。
個人的には大乗仏教の「慈悲」の考えも好きですが、好みの問題かと。
【 関連図書 】
▷『バウッダ[佛教]』中村元,三枝充悳(講談社学術文庫)
…仏教全体の概要を体系的に学べる。やや専門的。
▷『西洋哲学史』今道友信(講談社学術文庫)
…講義録が元なので読みやすい。問いの発展史。近現代は別冊で補完されたし(「講義あるある」かと思いますが、後半は駆け足・省略という運命は逃れられませんでした)。
3)『史記』横山光輝(ビッグゴールド・コミックス)
マンガ。
様々な人物が登場するのが良いです。
故事成語の成り立ちや複数の視点を得ることができます。
そしてなにより大河ドラマ的な面白さと各人の生き様が見れるのが魅力です。
【 関連図書 】
▷『史記(列伝)』(岩波文庫)
…マンガよりも詳細な内容を知ることができる。ただし分量は多い。
▷『十八史略』(講談社学術文庫)
…中盤からの宋代の権力争いがゴタゴタしていて面白い。元は受験参考書。そのためコンパクトにまとまってる。
▷『貞観政要』(講談社学術文庫)
…組織のリーダーの心構えを学べる。傲慢は危険。とりあえず訳だけ読んでok。
▷『宋名臣言行録』(ちくま学芸文庫)
…詳細な注があるので人物像なり社会背景を把握できるのが親切設計だと思いました。
世界を知るための読み物など
4)『New Scientist起源図鑑 ビッグバンからへそのゴマまで、ほとんどあらゆることの歴史』グレアム・ロートン(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
大人のための「ものごとはじまり図鑑」。
扱う範囲は非常に広く、宇宙や生命、発明など多岐にわたります。
グラフ等のまとめ方も特徴的。
パラパラ眺めても、興味を持った分野から読み進めても良いかと。
5)『知的トレーニングの技術[完全独習版]』花村太郎(ちくま学芸文庫)
6)『現代思想の教科書 世界を考える知の地平15章』石田英敬(ちくま学芸文庫)
どちらも読んでいるうちに勉強したくなる本。
知的好奇心がくすぐられます。
学術的な内容ですが、非常に読みやすいのでおすすめです。
学生の時に読んでいれば、進路が変わったかもしれないと思う本でした。
【 関連図書 】
▷『高地文明―「もう一つの四大文明」の発見』山本紀夫(中公新書)
…文明は、大河だけでなく熱帯高地でも栄えた!家畜化・栽培化にあたって土地の高低差を利用。
▷『21世紀を生きるための社会学の教科書』ケン・プラマー(ちくま学芸文庫)
…社会学の扱う範囲は広い。これを読んでいたら社会学の方にも興味が湧いてきた。
▷『現代文化論: 新しい人文知とは何か』吉見俊哉 (有斐閣アルマ)
…様々な切り口で文化を読み解く。人文科学について歴史的展開を踏まえた上で考える。
▷『世界神話学入門』後藤明(講談社現代新書)
…人類には共通する神話体系が2種類ある。DNAの分布と神話体系の分布が重なるという、神話と科学との交差。
▷『生物と無生物のあいだ』福岡伸一(講談社現代新書)
…なぜ分子に比べ生物は大きいのか?分子生物学のミステリ的な面白さ。学問は本来的に謎解きだと改めて認識できる。
▷『眠れなくなる宇宙のはなし』佐藤勝彦(宝島SUGOI文庫)
…読みやすい文体。宇宙の捉え方の歴史。
▷『近代科学の源流』伊東俊太郎(中公文庫)
…科学が花開くまで。翻訳による伝播と発展。やや専門的。「巨人の肩の上に乗る」を実感できる。
▷『言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか』今井むつみ,秋田喜美(中公新書)
…どうやって子供は言語を習得して行くのか?人間の学習プロセスについても応用が可能か?
▷『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
…古代ギリシャの叙事詩『イーリアス』に出てくる表現「葡萄酒色の海」はどんな色だったのか?
▷『欲望の見つけ方お金・恋愛・キャリア』(早川書房)
…(他の人が)ほしいものが(自分も)ほしい法則。自分にとって本当に大切なことを見つけるには?
内容が充実したハウツー本
▷『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』出口治明(角川新書)
…旅・人・本から学ぶ。読書はコスパ最高。古典を重視する経営者。
▷『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(ダイヤモンド社)
…学び方を学ぶ。分厚いながらレベルに応じた学習方法を教えてくれる親切な本。
▷『ライフハック大全―人生と仕事を変える小さな習慣250』(KADOKAWA)
…雑多だが有益な記事が多い。
▷『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』(サンマーク出版)
…外国人著者。こちらもライフハック的な内容。
人生を見直す時に読みたい本
7)『夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録』 V.E.フランクル(みすず書房)
8)『生きがいについて』神谷 美恵子(みすず書房)
どちらも地獄のような極限状態にもかかわらず、希望を見出せる人間の強さを知ることができる本。
人間の残虐性や差別・偏見など負の側面を真っ向から見つめ、そのうえでどう生きるかを考えさせられます。
9)『「普通がいい」という病』泉谷閑示(講談社現代新書)
つらくなったら読んでみてください。
一人ひとりは違っていて当たり前。
限りある人生をいかに生きていくか、決めるのは自分自身のはずなのに、他者に引きづられてしまうのはよくあること…。
ピンチはチャンス!
【 関連図書 】
▷『性格とは何か より良くいきるための心理学』小塩真司(中公新書)
…個人から県民性まで。結局立場によって変わる。
▷『スタンフォード式 人生デザイン講座』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
…人生をデザインする方法。もはや決まりきった出世街道は無くなった。デザイン思考で模索すべし!
▷『ハーバードの個性学入門:平均思考は捨てなさい』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
…人生に平均は無い。いかに「平均」に捉われているか。自在に調整できる方が上手くいく場合も多々ある。
▷『Dark Horse「好きなことだけで生きる人」が成功する時代』(三笠書房)
…自身に忠実に。小さな得意を積んでく。ガラリと人生を大きく変えたエピソード多数。
心を満たす小説・文芸など
10)『砂の女』安部公房(新潮文庫)
勤続数年のサラリーマンは必読の本。
数年前に読んだきりだが、今でも鮮明に覚えているほどの小説です。
11)『薔薇の名前』ウンベルト・エーコ(東京創元社)
中世ヨーロッパの修道院での殺人事件を扱った小説。やや難解。
圧倒的な博覧強記っぷりでめまいがするが、それがいい。
基本的に推理小説の枠組みなので、途中まで読み進めれば大丈夫なはず。
(ちなみに1回目は挫折しました)。
読むのに、ものすごく疲れると思いますが、読了感は半端ないんで是非挑戦してみてください。
12)『漢詩鑑賞事典』石川忠久(編)(講談社学術文庫)
歴代の代表的な漢詩を網羅するすごい本。
内容が良すぎて海賊版もでたそうな。
巻末資料も良くまとまっています。
分量が多いので、スキマ時間にちまちま読むのがおすすめです。
昔の人も、今とそんなに変わらない心情だったんだなぁと。
お気に入りの詩を見つけてください。
いざという時、護身用の鈍器としてもおすすめ。
【 関連図書 】
▷『和漢朗詠集』(講談社学術文庫)
…ちまちま本。和歌と漢詩の抜粋でお得。詩的表現を磨くのに是非。
▷『オイディプス王』(岩波文庫)
…真実を求めることで自身を追い込んでいく完璧な構成。そして悲劇。
▷『リア王』(岩波文庫)
…言わずと知れたシェイクスピアの悲劇。狂わずにはいられない絶望と生き様。
▷『アルケミスト夢を旅した少年』(角川文庫)
…金言に満ちた大人のための童話。夢を追うことの大切さ。
▷『街場の文体論』内田樹(文集文庫)
…「説明する力」を解説した本。講義録が元なので読みやすい。
▷『文学の用語』野中涼(松柏社)
…文学用語辞典。物語を語るうえで枠組みを知ると面白さが増すかと。読み物としても面白い。
▷『基礎日本語辞典』森田良行(角川学芸出版)
…日本語の基本的語彙の差異を詳しく解説。言葉のニュアンスが明確になる画期的な本。
▷『マンガでわかる「日本絵画」のテーマ』監修矢島新(誠文堂新光社)
…こんな本を待ってた!イラスト多め。題材が分かればより深く鑑賞することができるかと。
▷『絵を見る技術』秋田麻早子(朝日出版社 )
…絵画鑑賞にも独自の見方・文法があると知ることができた。名作と呼ばれる理由が分かる。
玉石混交のビジネス書からおすすめを
13)『戦略がすべて』瀧本哲史(新潮新書)
ビジネス書は当たり外れが大きいジャンルの一つです。
内容の薄いビジネス書を大量に読むより、この著者が出している本を読んだ方が良いでしょう。
深い思考をビジネスに生かす具体的な事例が学べます。
夭逝してしまったのが非常に悔やまれます。もっと早く知りかった…。
【 関連図書 】
▷『FACT FULLNESS』(日経BP社)
…人間のバイアスを取り除き客観的データに基づく判断を。客観的には割と世の中は良くなっているが、認知の歪みのせいで悪くなってると思いがち。
▷『Learned from Life History 38億年の生命史に学ぶ生存戦略』(PHP研究所)
…生き残るには only oneでNo.1!環境を上手く利用する点で経営は生物のメタファーが多い。
▷『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)
…その時しか体験できないことを体験せよ!人生は待ってはくれない。メメント・モリ(=死を思え。悲観的・感傷的な意味合いで使われますが、本来は人生を謳歌せよ的な意味合いだったはず)。
▷『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(東洋経済新報社)
…将来像の提示。100年時代で働き方が変わる。学び続けることが当たり前になっていく。
▷『世界標準の経営理論』(ダイヤモンド社)
…分厚い。多様性と専門性の両軸が重要。資本は有限→要戦略。経営学を俯瞰的に捉えられる。
▷『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版)
…真似ではなく世の中に無いものを作れ!常にイノベーションを起こせ!
▷『ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる』(日経BP)
…熱い名著。読み継がれてきただけあって、組織作りの教科書的な本かと。
専門的知識を深めるために
14)放送大学のテキスト
少ない分量にもかかわらず、要点がしっかりまとまっており、ハズレは無い。
基本的に気になった本を読めば良いですが、導入科目・共通科目・基礎科目・応用科目など学習の進行度合いによって内容に差が設けられています(ホームページ等でご確認を)。
初版から3~5年経つと科目自体が消滅するのに伴って、テキストが購入できなくなります。
(一部差し替えで、実質継続する場合もある)。
そのため(他の本にも言えますが)気になる本があれば、とりあえず購入を検討した方が良いでしょう。
なお放送大学の映像教材は学生だとweb上でいつでもどこでも視聴可能です(オンライン科目・面接授業は不可)(ダイレクト宣伝)。
「自分だけの本」を作ろう!
15)日記
日記を書きましょう!
見返すと面白いことが多いです(たとえ当時は辛い日々の記事でも)。
○×でも何でもいいので、とにかく書くべし!!
いずれ財産になります。
個人的には1日1ページのタイプがおすすめです(余白が多い方が柔軟な運用ができるため)。
また、1週間の内容を1行にまとめ、見開きで1年間分を振り返るのも良いです。
※読了リストのすすめ
読み終えたら日付、書籍名、著者名、ちょっとしたメモ(気付き)を一覧形式でまとめておく(媒体は問わない)と、その年に何を読んでいたのかを後で振り返ることができます。
当時何に興味を持っていたかを、客観的に把握できるので便利。
映画、ゲーム、旅行先等も同じく一ヶ所にまとめて記載すると利便性が高まります。
それでは良き旅(=人生)を!またお会いしましょう!