【読書案内】不安定な世界を生きるために―滝本哲史『戦略がすべて』感想

社会科学

概要

ビジネス市場、芸能界、労働市場、教育現場、国家事業、ネット社会……どの世界にも各々の「ルール」と成功の「方程式」が存在する。ムダな努力を重ねる前に、「戦術」を手に入れて世界を支配する側に立て。『僕は君たちに武器を配りたい』がベストセラーとなった稀代の戦術家が、AKB48からオリンピック、就職活動、地方創生まで社会の諸問題を緻密に分析。我々が取るべき選択を示唆した現代社会の「勝者の書」。

(カバーのそで(※表紙の内側に折り込む部分)より引用)

はじめに

著者である瀧本氏は、エンジェル投資家であり、京都大学で教鞭をとることもあった。

若者へのメッセージは特に胸を打つ。しかし、47歳という若さで亡くなってしまう。

本書は、社会における様々な場面を、具体的な分析を通じて見つめ直し、生きる上でのヒントを示す有益な書物と言える。

構造を見抜く

事実をありのままに受け入れることも重要だが、一歩引いた視点が重要になってくる。

とりわけ不確定な世の中になっている今日、その背後にある「隠れている理屈」を見いだす必要がある。

さて、あらゆる事柄は構造的にできている。

問題はそのことに気づけるかである。

構造性という視点を知ること自体が、素晴らしいと言えるだろう。

困難は分割せよである。

戦略性とは

時間・物・人は無限にあるわけではない。

そこで必要となってくるのが、戦略性である。

日本人は戦術レベルであれば得意とされるが、戦略性・思想などはあまり重要視されてこなかったように思われる。

これは農耕を主な生業としていたので、集団的な意識が強く、戦略を用いる機会が限られていたからではないかと個人的に思う。

教養について

本書では、具体的な分析の際に、過去の似たような事例を挙げて検討している。

とりあげている事例からも教養があるなぁ、と感心した。

個人的に特に共感したことは、人脈が多様な考え・捉え方を確保するのに非常に有用ということである。

このことにもっと早くから気付ければ良かったが、過去のことを悔やんでもしかたないので、これから築き上げることにしよう。

おわりに

実際に教養をビジネスで活かしている具体例を、本書で見ることができた。

単なる知識で終わるのでは無く、概念や方法を身につけるためには、実際の場面で活用していくことが重要だという。

この指摘は胸に響いた。

ここでもアウトプットの重要性が出てきたのである。

考えるのは楽だが、実践は難しい。このことを肝に銘じ、より積極的な実践で自分を磨こうと思った。

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